不定期で集まり映画批評に興じる4人衆(WOW佐伯、Frontage上島、TWBA深津、asobigraphic川上)によるトークの一部をお届けします。観た映画は、北野武初監督作品『その男、凶暴につき』(1989年8月12日公開)。およそ30年の時を経て、凶暴性が年々削がれている?現代社会を生きる私たちは、いまこの映画に何を感じたのか?
佐伯: 初めてちゃんと観ました(笑)。
川上: 僕も初めて観ました。
深津: 観たことあるけど、ストーリーを全然憶えてなかったです(笑)。場面場面の強烈な画は憶えてました。
上島: たぶ自分も10代の時に観てて、ストーリーの最後の方がすごいショッキングだったっていうこともあって、全然繋がっておぼえてなかったかもしれない。
佐伯: ストーリーが繋がってなかったということです?
上島: たしか18か19歳ぐらいのときだったんですけど、家でこれ観ていいんだろうか!って気がしたんですよね(笑)。
Frontage上島 氏
川上: たけし映画の特徴ですよね。人を痛く殺す。痛くなく殺すハリウッド映画は逆に駄目じゃねえかっていう(笑)。
上島: 今日観ていて、気づいたんですけど、一撃目を映さないでしょ?最初の子供の部屋で殴るところとか。しかし、あんな刑事が家に来たらやだわ(笑)。最初にしのごの言わず一発ブン殴るところを映さないし、たけしが刺されたりするところも最初は映さないし、もうほぼ勝負が決まった後の、どっちが強いか弱いかわかった後の、ボコボコはちゃんと映すんだけど、その最初の痛っ!ていうところは、意外とうまく映さないんだなと思って。
深津: 確かに、あれなんじゃないですか、刃物とかだと、その瞬間が観せにくいからとか?
上島: それもあるかもしない。しかし、うまいなと思うよね。その最初の一撃のシーンが映ってなくても観てる側は、ハッ!って感じはしてるじゃない(笑)。
川上: ヒッチコック的な撮り方ですよね。影でいろいろ表現したりとか、血飛沫でやったりとか。
佐伯: うんうん。
深津: たけしのこの映画を撮った時の年齢を調べたら42歳。
上島: あ(笑)。
佐伯: やべえ(笑)。
川上: 僕も見ていて気になったんすよ。これ、たけし何歳なんだろう?って(笑)。
佐伯: 42歳でこんだけの映画作ったのか、、、。
上島: しかも、ほら経緯的には、深作さんが降りちゃったから、自分で作らなきゃいけなくなったという、、、すごいですよね。
川上: 逆にその入りが良かったのかもしれないですね。深作さんっていう基軸があって、ある程度自分の作りたいものがその路線にうまく乗っかって、その後、ああいうテイストで撮り始めたっていうのはあるのかもしれないっすよね。変にコメディアンとして映画を作らなくてよかったっていうのもあるかもしれない。
asobigraphic川上氏
上島: ただ、随所に笑っちゃうやり取りもありますよね(笑)。「職業なんでしたっけ?」の返しで、「鉄砲の通信販売です」って言わせたり、「なぜ刑事になったんですか?」の返しで「友人の紹介(笑)」って言わせたり。ぎりぎりのブラックジョークを随所にいれる感じとかは面白い、いいなと思って観ちゃいますね。
佐伯: ブラックジョークはたけしっぽいですよねぇ(笑)。
深津: ですねぇ(笑)。
上島: なにかの雑誌で読んだんだけど、撮影チームは、深作組だったのかな?違うかな?もうこのデビュー作の時点で、たけし映画のフォーマットが芽生えつつあるじゃないですか。たけしのこだわりが撮影部に受け入れられず、現場ですごい嫌われたってことがあったみたいです。
川上: そうなんですね。
上島: 例えば出演者の歩いてるところの顔が見切れちゃうとか、撮影部としてはそういうのは絶対あり得ない的なやり取りがあったって話があったんですよね。最終的には、「もうわかりました、言われたことだけやります」みたいな感じの空気の中で映画作ったっていう、、、地獄だなと(笑)。
深津: 確か撮影部がカメラを動かしたがるっていう?
TWBA深津氏
上島: そうそう。このままフィックスで撮ってくれっていうのに対してはやっぱり、プロのプライドが許さなかったんじゃないですかなと。撮影監督は目的に対してカメラワークが活かせるはずだっていう経験からくるものありますよね。
川上: この映画、カメラの固定の長回しが多いですもんね。
上島: うんうん。
佐伯: あれ、めっちゃ良かったです。
深津: ね。
川上: あの時代にはあまりない演出ですよね。今は結構ありますけど。しかもなんか、画面に収まらないワイド感がありますよね。ゆっくり振るみたいな、今のパノラマじゃないけどそういう意識で撮ってる感じはすごいあった。
佐伯: 自分は、そのあたりの演出があれだと思ったんですよ。押井守監督の『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』中で、風景だけ出てくるシーンがあるじゃないですか、ゆったりした曲が流れてて、素子が素子を見てる、みたいなシーン。あれがすごい影響を受けてるんじゃないかなって思いました。東京の裏側みたいな、半分崩れかけた廃墟みたいな場所も結構でてきますよね。もうちょっとマニアックなところだと、機動警察パトレイバー NEW OVA 第10話『その名はアムネジア』の中盤でも同様の演出のシーンが出てくるのですが、この回の脚本が押井守さんでした(笑)。
川上: あとレザボアっぽい終わり方とか(笑)。みんな殺しあっちゃって最後に1人生き残って、ひとこと言って、
佐伯: タランティーノよりこの映画の方が先ですかね?
上島: 先です。
川上: タランティーノはこの映画好きだったと思います。わかんないけど(笑)。タランティーノはマッシュアップというか、有名なシーンを引用して作ってたりしますもんね。
深津: そして、あんなにおとなしい画でも観(魅)せられちゃいますよね。
佐伯: めっちゃ綺麗ですよね。
深津: 僕はやっぱり、改めて北野たけしが好きだからもうずっと観ちゃうというか、あの顔だけでも観ちゃうという(笑)。
川上: あの間の持たせ方はすごいですよね(笑)。無音で表情も変えずに間を持たすっていうのは本当にすごいなと(笑)。
上島: この時代でも、なんというか、顔もそうだし、姿形で画の中で映えるんだよなっていうのが、後ろ姿とかさ、ちょっとガニ股のあのフォルム、たけしが歩いていると他の人と違ってこの人が主人公だって感じが、なんでするんだろうと思ってたんだけど、、、。映画にそんなに出てましたっけ?確か戦場のメリークリスマスって、これよりも前でしたっけ?
川上: 監督になる前ですね。あと、音楽があってるのか合ってないのかわからなくって不穏な感じがあるんですよね(笑)。ピリピリしてるのに妙にメロディアスな曲とか流れてて、どっちをとったらいいのか分からない!みたいな(笑)。
深津: 何かが起きるんじゃねえか?っていうのを時々おこすからずっと観ちゃうんですよね。
川上: そうそう。
上島: あとあれだよね。ほんといろんなところでタバコを吸えてる時代なんだよなと(笑)。
川上: 警察署の中にタバコの自販機があるんですからね(笑)。
上島: ジュースとタバコの自販機が並んでる感じとか、やっぱすごいな(笑)。あと、白竜さん、初めて観た時はあの役が悪いなぁという印象だったんだけど、今こうやってストーリーを踏まえると、たけしと彼は似た者同士なのかっていう感じがしてて、要は、組織の中でうまく立ち回れない強烈な個っていうのが、裏写しでちゃんとできてる脚本なんじゃないかなと。大人になってからやっとわかる。
佐伯: おー。
川上: そうっすね。
深津: うんうん。
上島: だから組織の中で上手に振る舞える人と振る舞えない人の対比でもありますよね。あいつね。あの後輩ね(笑)、ある種、名シーンだと思うんですけど(笑)。
川上: うんうん(笑)。
上島: 最後がオフィスの事務の女性の軽蔑の眼差しで終わるっていう(笑)。
深津: (笑)。
川上: わかります(笑)。一瞬この子がラスボス?って思いました(笑)。
深津: あのシーンで終わる感じ(笑)。
川上: そのままカタカタいいながらのエンドロールもなかなか斬新ですよね(笑)。
上島: 今日、「君達はどう生きるか」を観たばっかりなんで、この終わりかぁっていうのが二つ続いてます(笑)。
佐伯: 僕もたけしと白竜さんの裏表感を感じました。前半はたけしが行った場所に後から白竜さんがきて、後半はその逆パターンでしたよね。
上島: あと、寺島進がこの時から出てたんだって思いました。次のソナチネ?ぐらいからの刑事の印象が強かったから。
深津: 遠藤憲一さんも出てましたね。
佐伯: もっと出てくるかと思いきや冒頭で死んじゃう(笑)。
深津: そうだ。
川上: やっぱり、当時だとまだ若手でちょい役なんですよね。今でこそあんなになってるけど。
深津: あと、たけしさんは普段から暴力的だから暴力シーンがうまいんですかね(笑)。平手打ちであれだけ人を殴れるっていうのは演技だけでは絶対できないですよね(笑)。
川上: ですね。やられてきたし、やってきたみたいな(笑)。
深津: じゃないとあんなに不条理に何発も演技で平手打ちできないですよね(笑)。あのトイレのシーンとか。
上島: 笑っちゃいそうになるぐらい連続するもんね(笑)
深津: そうっすね、あれは本当に殴ってますよね(笑)。あのシーンはめちゃめちゃ覚えてました。
川上: あんな蹴り方もあれしかしないですよね(笑)。絶対練習しないじゃないすか(笑)。
上島: あの平手打ちは、最初はずっと白状させるためのビンタだったのが、慕っている先輩刑事が麻薬を横流ししてたってことを聞いて、次の瞬間に本気で殴るっていう。会話をしていないのに、平手打ちだけで対話できるっていうのが、暴力なんだけど、すごいうまい使い方ですよね。
深津: リアリティーありますよね。
上島: あと、勝手に柳ユーレイがずっと殴られているシーンがこの映画にあった気がして観てたんだけど、最後までなかったので別の映画だったみたいです(笑)。
佐伯: やっぱり、この映画を観てよかったっす。最近みんなの牙が抜けすぎてるなっていう空気を感じてて、妙なスイッチが入ってました(笑)。
深津: (笑)。
上島: (笑)。
川上: (笑)。
佐伯: 例えば、自分の妻が最近、台風直撃のニュースを見て、「幼稚園休んだ方がいいかなぁ」とか言ってたんですが、どんだけひ弱なんだと思い、「関係ねぇ、行け」と言ってしまったり、、、。
深津: 親父がたけしさんみたいだったら怖い(笑)。
上島: あの、中盤にあるカーチェイスするシーンがあるじゃないですか、あそこは品川なんだよね。青物横丁から来た品川の、
川上: モノレールの、
上島: そうです。もうね、自転車でいつも通ってる場所だから、みなさんをツアーで案内できるぐらい完全に、このカットはここでロケしてるっていうのがはっきりわかるので、個人的にそこにぐっときてました(笑)。
深津: たけしさんハンドル握ってから怖かったなぁ(笑)。
上島: 完全に射程内に捉えてからの、サディスティックな、オラオラみたいな(笑)。
深津: あそこで一回轢いて、ちょっとコメディタッチになったかと思いきや、またあいつがいきなり起きていてガシャーンって、またああいうことをやられるから、間の後に何かあるんじゃないか?何かあるんじゃないか?とずっと思わされるというのはありますね(笑)。
佐伯: マジで名作ですね。
上島: 確かに、北野映画の後のいろいろなことの大体がおさまってる感じがしますよね。あとはそれが上手くなくなったり、洗練されたりで。
佐伯: ほんとですね。アウトレイジの要素とか大体入ってますよね(笑)。
上島: あの、冒頭と最後の橋から上がってきてたけしの顔が見えてくるシーンって、キッズリターンにも似たのがあるから、きっと好きだよね。
深津: キッズリターン観たいなぁ。
川上: あれは名作ですね。
上島: やっぱり「その男、凶暴につき」に、やりたいことを全部詰め込んだんじゃないですかね。
川上: 深作さんが降りたときに「俺がやるよ」って言った時点で、何かしらのやりたいことがあったんでしょうね。じゃなきゃ言えないですよね。
深津: その状況で制作スタッフにいろいろ言われてもやりたいことを通すのはすごいですよね。
上島: 本当だよね。とんでもない現場の空気に一回はなってるはずだよね。
深津: なってるでしょうね。
佐伯: しかも今よりも、撮影部の組意識が強い時代ですよねぇ。
深津: ですね。
佐伯: 突然ぶっこみますけども。事前にメッセンジャーでみんなに送った、アリシアキーズとカニエウェストの City of Gods のMVが、「その男、凶暴につき」のラストシーンとアートディレクションが近いな思ってました。ちょっとだけ見てほしい(笑)。「影響受けてる?」って聞いても「受けてないよっ」ていわれると思うんですが(笑)。
川上: こういうのは他にもよくあるから(笑)。
深津: (笑)。
上島: (笑)。
深津: 絵を見に行くシーンで出てくる絵、あれはたけしさんのですかね?
川上: 違うんじゃないですかねぇ。
上島: シャガール?映画の中で、自身の絵も使ってる例はありましたよね。たしか「HANA-BI」とか。
深津: うんうん。
上島: あと、妹さんと病院から帰る途中で海を眺めるシーンなんかは、その後の北野ブルーと言われるようなきっかけも入ってるよね。
川上: うんうん。
深津: 当時のたけしさんって、42歳じゃないですか。自分が50歳とか、60歳とかになっても、このたけしさんを年上だと思うんですよ(笑)。
川上: わかる(笑)。
深津: ずっと自分の方が年上になる気がしない(笑)。
佐伯: たけしさんばりに、人を殴らないと大人になれないのかもしれないですね(笑)。
川上: 違うと思います(笑)。
深津: フライデー襲撃するぐらいのやり取りがありますもんね(笑)。ちょっと映画とずれますけど、たけしさんって離婚したり、たけし軍団と事務所を離れたりとか、いろいろあるじゃないですか。なんというか、ずっと誰から見てもかっこいい男でい続けるのって難しいですよね。自分たちの身近なところで、例えば55歳ぐらいでこういう人になりたいと思える人が少なくないですか?たけしさんも、もともといいなって思ってたけど、今の感じは昔ほどかっこいいと思えないところが正直あります。もちろん、今でもかっこいいと思ってはいます(笑)。
川上: うんうん。
深津: 「誰みたいになりたいですか?」って言われたら誰です?
川上: 年上ですよね?
佐伯: いま生きてる人でってことですよね?
深津: いま生きてない人でもいいんですけど、大昔の人だと住んでる世界が違いすぎて想像できないので、、、。
佐伯: その点でいくと、ぼくはジャイアント馬場さんです。
川上: 馬場さんなんすね。
佐伯: やっぱり、生涯現役でいたいなと思ってまして、馬場さんみたい常に現場で戦ってたい感じです。
深津: なるほどぉ。
佐伯: アントニオ猪木の方向に行くか、ジャイアント馬場方向に行くかっていうのは、僕らにも突きつけられている選択肢の一つなのではないかと。三浦カズさんとかは馬場さんに近いんだろうなと思うんですよね。
川上: そうですね。
深津: 生涯現役、そうっすね。
佐伯: おれは試合には出るぞ、おれは監督とかコーチではないぞみたいな感じですよね。
川上: グラフィックデザイナーは生涯現役の人多いですね。アートディレクターにならない。
深津: 確かに。
川上: 昔からやってるデザイナーは、結構自分で手を動かす人が多いですね。今の人はみんなアートディレクターで、スタッフ抱えてやる人が多いですよね。
深津: 佐伯さんは、生涯現役で現場でやっていきたいって、どういうところで思ったんですか?
佐伯: そうですねぇ。生きていくための方法論っていくつかあると思うんすけど、自分は得意なことを仕事にして社会の役に立っていくのが一番生きやすいのかなと考えてまして。それが自分はプロデューサーなので、例えばプロデューサーをやめて社内の人事とか経営陣がやっているような別な仕事をしていくのはあんまりいい方向に行かない気がしてます。
川上: うん。分かる気がします。
佐伯: なので最近流行りの「FIREしたい!」みたいな感じで、株とか不動産投資でまとまった不労所得をえて、仕事やめてえみたいな人もいると思うんすけど、自分はそれもしっくりこないんですよね。仕事が忙しすぎるのもちょっと嫌ですけどね(笑)。20年後とかには「やっぱりFIREしたいわぁ」とか言ってるかもしれない(笑)。
上島: 20年後だとFIREじゃなくて普通の退職が近づいてますね(笑)。
川上: 早期じゃない(笑)。普通の退職者ですね(笑)。
佐伯: たけしさんも未だに現役で映画を撮り続けているというのは尊敬ですよね。生涯現役。
上島: それこそ、紳助とかさ、
深津: うん。
上島: 上岡龍太郎さんもそうだけど、事情は何であれ、引退が早かったですよね。だから、たけしさんは映画が好きというか、何かそこに強い思いはあるんでしょうね。
川上: たけしさんにとっての映画っていうのは、脱サラして始める農業のようなものと一緒で、「テレビの仕事とかをやめて映画だけ作りたいんだけど」みたいなことなんだとは思いますよね。こんなに歳取ってまで映画を撮り続ける理由は。
深津: うんうん。
川上: 僕はこないだ、山田洋次監督のニュースを観た時に「まだ撮ってるの?」って思っちゃったんですよね。たしか92歳、、、。
上島: 吉永小百合さんでしょ?
川上: ですです。そしたらこのあいだ、あれですよ、ジョン・ウィリアムズがオーケストラで指揮やってて。
上島: 知ってる。松本で。
川上: この人も、まだやってんの!って思って、こちらも91歳で。さらに小澤征爾さんが点滴ぶら下げながら車椅子で登場して(笑)。
佐伯: 小澤征爾さん、山田洋次監督、クリント・イーストウッドは、ジャイアント馬場さんと一緒ですね(笑)。
川上: クリント・イーストウッドもそうですよねぇ。93歳。
上島: あと、染色家の柚木沙弥郎さんって、たしか100歳超えてない?100歳を超えていても描くものに説得力あるからいいですよね。イーストウッドだって駄作を作ってたら、もうそろそろ引退と言われるけど、毎作ちゃんと面白いじゃない?
川上: イーストウッドはプロデュースに回るって言いながら、やっぱり演出も自分でできちゃうという(笑)。宮崎駿さんもそうじゃないすか?
深津: そうっすね。
川上: 息子に託したって言いながら、また自分が戻ってくるみたいな(笑)。
佐伯: 対して絶頂期で引退というところでいくと、自分の中での最高峰は三島由紀夫なんですよね。
深津: なるほどぉ。
川上: 僕はウッディ・アレンの、「あなたの最高傑作は何ですか?」に対して、「次回作です。」って言うのが結構好きです(笑)。
佐伯: ウッディ・アレンもコンスタントに映画作ってますよね。やっぱり大御所たちは、映画会社にちゃんと儲けさせてるから作ってもいいよって言ってもらえるんでしょうね。
川上: ただ、ちょっと女性問題がね、、、
深津: metooの問題だとたけしさんも危なそうですよね。
川上: もう出ちゃってるじゃないですか(笑)。フライデー襲撃とか(笑)。
深津: 当時から隠してないからいいのか(笑)。
上島: そうかもしれない。
深津: だからなのか、どんなのが出てきても女性関係はやってそうだなって感じがしますよね(笑)。
上島: (笑)。
深津: 千鳥の大悟的な(笑)。
川上: そうそう(笑)。
深津: これやってるよな、みたいな(笑)。
上島: 話は変わるけど、たけしさんが93年に黒澤明監督と対談してて、あれ面白いですよね。たしか、たけしさんが何作か撮った後ですよね?
川上: そうそう、たけしさんの映画をいろいろ褒めてるんですよね。
上島: 評価がついてきた頃のことってことですよね。いや、すごいですよね。
佐伯: ほんとにすごいっすね。
深津: お笑いやってて、自分がお笑いとしてはもう駄目だと思った時にやりたいことを実践して、経験があるからまだ俺はやれるって言えるんですよね。
上島: あと、戦場のメリークリスマスで、大島監督に会ってるのも、大きいんだと思うんですよね。世界的な映画になったしね。大島監督の映画に出て、降りたとはいえ、深作さんに監督をお願いして、黒澤さんと対談してって、ゴールデンコースだよね(笑)。
川上: ですよね。
上島: そして、話は変わるんだけど、たけしの同僚役の芹澤名人、この人は昔からそうだけど、芸人には全く見えず、こういう刑事がいそうっていう感じとか、ほんとにまいなと思って(笑)。
深津: 芹澤名人って、芸人なんでしたっけ(笑)?
上島: たけし軍団に所属してるはずだよね?スーパージョッキーで見かけた記憶がうっすらとあるんだよね(笑)。たけし軍団がもっと出演している印象があったけど、思ったより少なかったので厳選したんでしょうね。
川上: 確かに(笑)。
上島: 我妻の後輩役、なんだっけ?たしか今も役者を続けられれてるんですよね。この映画のいかに優れてるのかみたいな批評って、思いのほか外国人が編集していて、英語だけじゃなく、フランス語とか、いろんな言語でアップされてて、そのなかのどれかに我妻の後輩役の方(芦川誠さん)のインタビューが出てきたのをみました。いかにこの映画が、彼にとっての出世作としてはまったかというかとかを話してました。いい感じだもんね(笑)。こういう調子良さそうな新人って、どの時代にも居そうって感じが伝わるし(笑)。
深津: うん。
川上: 評価されるまで間があいたでしょうね。たけしの映画って、当初は低予算じゃないですか。
上島: うん。
川上: 有名な俳優陣を使えない中で制作して、後に映画が評価されたときに、「そうです。この映画に出ていた役者です!」みたいなので名が売れていくという。
==========
この後も4人衆の批評は続きに続いたのですが、Dugup?でのレポートはここまでということで。演出の話から人生論まで、やはり映画は総合芸術!話がつきません。今後もこのメンバーでの映画談義を録していく予定です。また次回をお楽しみに!