「つぶまる麦茶」をご存知だろうか?明治41年創業の小川産業がつくる煮出し専用麦茶だ。自分は人形町にある自家焙煎ほうじ茶の店「森乃園」で購入している。


この麦茶は自宅の鍋にお湯を沸かし、煮出し、冷やしてから飲む、という手間がかかるのだが、実に美味い。深く香ばしい香りとコク、上品で飲みやすい味、褒めすぎかもしれないが我が家の夏の定番で子供たちも大好きである。飲めばわかるがペットボトルで販売されている麦茶は、薄い麦茶と言わざるをえない。
今回、本記事の執筆をきっかけに、麦茶のごとく便利さや手軽さと引き換えに薄まってしまっているものがたくさんあるということを再認識することができた。例えば畑になっているトマト。トマトから土や葉の匂いがして野菜の「野」を感じ取ることができて味も濃く美味しい。最近はそんなトマトを食べていない、、、。自分の子供たちはスーパーで売っている匂いと味が薄まったトマトがデフォルトになっている。この状況はおそらく都市部で加速していて地域や世代でも差が生じているものと推測できる。もうひとつ自分の体験をあげると、豚の丸焼きが今でも忘れられない。獣の匂いが存分に残った味がして、あれがおそらく野味というものだったのだろう。
便利に簡単に大量生産・大量消費をする場合、モノが持っている魅力を薄めてしまい、いつしか本質を見失ってしまう危険性がある。
こういった状況を踏まえると、昔の人間よりも今の人間の方が美味いものを食べているという考えは、進歩史観にとらわれた妄想だと言えるだろう。
話はそれるが、以下の動画は江戸時代の蕎麦レシピを再現したもので、すごく美味そうである。
はたして、江戸時代の人間がコンビニの蕎麦を食べたらどのような感想を述べるだろうか。
つぶまる麦茶を飲んで浮かんだ格言っぽい言葉を以下に記す。
「濃いものを生み出すには煮出す手間が必要である」
本質を見失わないための手間がかかる「つぶまる麦茶」は、現代人の精神に良い影響を与えるオススメ商品である。人形町を訪れた際は、是非お土産に「つぶまる麦茶」の購入をオススメしたい。
ちなみに森乃園の三軒先にある、東京三大たい焼きのひとつ「柳屋」も超がつくほどオススメのお店だ。手間をおしまない手焼きのたい焼きを食したい方は是非立ち寄ることをオススメしたい。

Shop info
住所:〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町2丁目4−9
住所:〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町2丁目11−3